座浸工房

座浸工房

Concept

彫金の作家である施主様から、自宅の庭の一隅に落ち着いて制作に専念できる快適な工房を作ってほしいと依頼された。敷地は緑豊かな広い庭の一角で、高崎線の線路に接している。
母屋と工房、それぞれの「独立と関わり方」、アプローチと庭を含む外部空間の計画をテーマとした。電車の騒音から屋内を守る長い壁と、母屋の生活から制作への気持ちの切り替えの為の2枚の壁で構成し、壁の間は広く開放し庭の緑をいっぱいに取り込んだ。屋内では制作、休息の場を暖炉とカウンターテーブルで分け、天井の高い一体空間とした。工房の床は少し下げ、深い庇で目線を低く抑えた。書斎と仮眠室は階段を支える曲げ格子で可視分離され、雰囲気の違う小空間を作った。建物に沿った流れは門まで続き、枝ぶりの見事なドオダンツツジと共にアプローチ空間を豊かにしている。

Data

所在地 :埼玉県桶川市
構造規模 :RC造 地上2階
延床面積 :84.7㎡
竣工 :1990年
施工 :銘建
撮影 :木寺安彦