9月号に引き続き、雑誌「建築士」10月号の中の「旅から旅絵」というコラムにスケッチを載せていただきました。

28年程前、三、四百年続くハノイ地方の伝統的な村がそのまま残っていると聞き訪ねました。

田んぼの道を進み、村の門を潜り進むと、正面に屋根の四方を跳ね上げた神社風の建物に出ました。広場では多くの女性たちが、ちょうど集められた稲の束を脱穀していました。広場北側に建つ堂々たる建物はDAIN(ディン)と呼ばれ、礼拝所兼集会場で村の中心施設でありました。長老を中心に村民の合議により農作業や収穫、戦時への対応まですべてのことがここで決められました。「国王の力も村の垣根まで」と言われ、村は独立して運営されていました。

村人の住居は、広場から複数伸びたレンガ塀の小道に沿って配置されていて、それぞれの家には前庭があり、果物の木が植えられ、鶏が元気に飛び回っていました。外壁のレンガは空気層を内包するこの地方独特の造りで断熱性が高いとの事でした。広場から家々へ向かう門を含む風景をスケッチしました。

村は今では観光名所の一つになっているそうです。 日本の緊急事態宣言も解除となりましたが、ハノイはまだロックダウン中であり、解除を待ち望んでおります。